クラフロ小噺その1。

ジェネレーションオブカオスより 「風邪」



 フローネが風邪をひいた。
 涙目になり大分辛そうだった。
 俺が戦いに向かわず残った理由は、それだけだ。


「……寒いよぅ」
「熱がひどいな……何か飲むか?」
「……口うつしで?」
「馬鹿女」
「ひどいなー」


 ***


「ごほ、ごほ」

 がちゃ バタン

「寝てろと言ったろうが。何をしている」
「ミカン……食べたかったの」
「寝ろ」
「ミカンー」
「ほら、皮剥いてやるから」
「……ん」
「全く意地汚いな」


 ***


「汗がべたべたするー」
「そうか。替えの服と下着はどこだ?」
「えっと、そこのクローゼットのひきだし」
「……これか?」
「……ああ!!」
「違うのか?」
「いや、あの……そうだけど……別のにして」
「そうか。……ん、顔が赤いぞ」
「風邪だからよ! ……あう」

 ぱたり

「……大丈夫か?」


 ***


「ほら粥(かゆ)だ。食え」
「あーん」
「……何のつもりだ」
「え、食べさせてくれるんじゃないの?」
「自分で食え」
「ああ、体がだるくて動かないよー、食べれないよー」
「自分で。食え」
「……クライスがいじめるよぅ、ひどいよぅ」
「ほう、いじめか。なら俺がこの粥、全部食っても問題ないな」
「あ、ちょっと! ……うう、ごめんなさい」
「よし」
「それじゃ、器ちょうだい……て、なに自分で食べてるのー!」
「……ん」
「んむ!」

 ……く、こく

「……ふう」
「…………」
「食い終わったら、そこのテーブルに置いておけ」

 がちゃ

「……熱上がったよ、クライス」


 ***


「で、クライスちゃんよ」
「何だ、テモワン」
「なーんでフローネは、こんなにニヤついて悶えながら寝てんだろうな? 涎まで垂らしてるし」
「分からん。玉子酒を作って飲まして……こいつが眠ってからは、ここには来てない」
「ほほぉ、玉子酒か。……手作りか?」
「黙れ」
「ヘイへイ。で、酒はまだ残ってるのか?」
「ああ。だが冷めてるぞ」
「んじゃ温めるか」
「おい、飲む気か?」
「ここんとこ寒いんでな。別に毒じゃねえんだし、いいだろ。飲んで飯食って寝る」
「なら、自分で用意しろ」
「分かってるって。お前はどうする?」
「ん、そうだな……もう少し、ここに居るよ」
「ヘヘ、そうか。んじゃな」

 ……パタン

「何だ? あの笑いは」

 いけすかんな。今に始まった事じゃないが。

「……それにしても、なんて顔で寝てるんだ、こいつは」

 阿呆面とはこういう事を言うのだろう。写真にでも撮って、あとで見せてやりたいくらいだな。

「まあ、愛嬌はあるな」

 ちょっとイタズラ心が胸に湧いた。軽く頬をつついてみる。ぷにぷに。
 ……お。

「……あ、クライスー」
「起きたか」

 少々残念だった。まあいい。

「とりあえず口のよだれを拭け」
「エ! あ、うわすごい。布巾、布巾」
「ほら」
「ん、ありがと」

 ゴシゴシ

「や、みっともないとこ見せちゃった」
「今更だな」
「それもそうだね、アハ!」
「熱の方は?」
「んー……もう平気みたい。うん、大丈夫」
「そうか。なら、良い」
「……クライス」
「ん?」
「ありがとね」
「? たいした事はしてないぞ」
「うーん……まあいろいろと」
「?」


――いろいろとね


「クライス、わたしお腹すいたよ」
「なら食堂に行ってくる。なにが食いたい」
「ん、いい。一緒に行く」
「大丈夫か?」
「平気平気! それじゃ、ちゃっちゃか行きましょう!」
「ハイハイ」




はーそれからどーしたどんどこしょ


 食堂にやって来た二人が見たものは。


「ちくそーたかがてきぶたいをいちげきでつぶしたくらいでみんなへんなめでみやがってさー!」
「うわあそれ以上飲むなってマフィン!」
「うっさーい!」

 ドゴ

「グハァ!」

 マフィンが玉子酒を飲んだくれて暴れてた所だったりする。酒は酒なので、やっぱり酔う物は酔う。
「わたしがなにしたってゆーのよう!」

 おーいおいおい おーいおいおい

 しかも泣き上戸っぽい。
 二人は即座にきびすを反す。

「外で食うか」
「そうだね。わたし着替えてくるよ」
「それじゃ城の門で待ってる」
「うん」

 しかしそうは問屋がおろさないのが当たり前なのがこのSS。

「あー! くらいすとふろーねどこいくのー!」

 マフィンに捕捉された。捕まった。

『早!』
「さーこっちきていっしょにのもー!」

 どうにも逃げられそうにないっぽい。

「の、飲ますんじゃなかった」

 主犯者の心からの一言だった。

『あたり前だーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』

 でも許されないっぽかった。

 ギャー



クラフロっすよクラフロー!!
ああもう幸せ…(悦
ぶっきらぼうなクライスがよさげ。
なんだかんだといいながら看病してくれるし!
フローネが風邪ひいたから戦いにでなかったんですよ?
ミカンの皮むいてあげたり着替え用意してあげたりしてるんですよ!
…ところで下着の用意までさもあたり前のようにしてくれようとするクライスさん。いやん(*ノノ)
おかゆまで食べさせてくれたり。口うつしで。すみませんもだえました。播(T▽T)
卵酒も作ってくれたり。ああいたれりつくせり。
いつもは逆なんでしょうけれど。
フローネの方が色々ご飯とか作ってくれたりしてるんでしょうなぁ。…夫婦だ…(ぼそ

落ちが酔ったマフィンに捕獲されるご一同…。
不憫(笑
ともあれ、ありがとうございました!

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