サトヒロ小噺その3。

スペクトラルより 「まつげ その1」



「お、姫さん」
「ん?」

 サトーはヒロを呼び止めると、彼女の目元を指す。

「まつげ、ついてるぜ」
「何? ……どこだ?」

 自分で触ってみても分からない。
 サトーは、くすっと笑う。

「とってやるから、目、つぶってな」
「む」

 素直に目をつぶるヒロ。
 そんな彼女にサトーは

(ニヤソ)

 と笑う。

「すぐ終わるからな」

 そしてゆっくりと手を伸ばし





 ぷに





 彼女の頬をつまんだ。

「…………」
「…………」ニヤソ


 魔招・煉獄 烈火死霊斬 魔界粧・轟炎

 ぎゃあ


「何をするかバカモノー! はッこれは!?」

 それはサトーではなく、なぜかジャドウが燃え尽きていた。

「く、変わり身か! チク!」
「はいはい」

 廊下の影から彼は出てくる。いつの間に!

「サトーは今どこにいる!」
「えと……生態反応からすると城の外に」
「逃さんぞサトーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「は出てないみたいだけど。っておーい姫さーん……行っちゃったか」





「どこだサトー」

 えーんえんえん えーんえんえん

「返事しろサトー」

 えーんえんえん えーんえんえん





 激しく道に迷ったヒロは、樹海の中をさまよい歩きまわっていた。

「うーん、そろそろ出た方がいいか……?」

 こっそりと後をつけていたサトーだった。

「でも燃やされたくないしなー」

 いいから早く行け。


 どっとはらい






邪雪小噺その1。

スペクトラルより 「まつげ その2」




 今、オレの隣にスノーが居る。しかもかなりの無防備さだ。



 チャンスッ



 と、口元が緩みそうになるのを必死でこらえる。
 さてどうするか。
 いかにして。さりげなく。


 彼女に熱いベーゼをぶつけてくれようか!


 ようするにキス。くちづけ。実に悩むところだ。
 正直、いつも普通にするのではつまらない。たまにはこう、ハッと驚かせてみたい。
 それでいて「もう……君をどこへも行かせはしない!」的な要素が滲み出ていれば、かなりOK。
 しかし、そんなロマンなキスがあるのだろうか……難しい。
 さあどうするか、と考えていた矢先。



「お、姫さん」
「ん?」
「まつげ、ついてるぜ」
「何? ……どこだ?」
「とってやるから目、つぶってな」



 それイイ! ふふふ、アリガトウ疾風の……居たのか奴ら。
 ここからではよく見えないが。

「どうかしたの? ジャドウ」

 はッ

「……いや」

 まあいい。邪魔が入らぬうちに、とっとと実行に移すことにする。

「スノー。頬にまつげがついている」
「え、本当ですか?」
「じっとしていろ。とってやる」
「はい」

 彼女は目をつぶった。俺は静かに





 チュ





 スノーの頬にキスをした。

「なんてな」
「……ジャドウ?」
「嘘だ」
「ジャドウ!」

 やはり気が変わった。口の代わりに、その柔らかな頬で我慢しといてやろう。
 ま、効果はあったようだ。

「顔が赤いな」
「バカ!」

 右ボディ 左フック 右アッパー ラ・デルフィスー!

 がはぁ!

「どバカー!」

 顔を両手で覆って、とっとと走っていった。

「ぐ、く……愛い奴だ……」

 と、

「丁度良い!」

 先ほど聞いた声がした、瞬間

「魔招・煉獄 烈火死霊斬 魔界粧・轟炎 !」

 視界が、燃えた。





 ぎゃあ





「大丈夫?」

 ほっとけメガネ。

「まあまあ、スノーさん呼んできますし」

 ……うるさい黙れ

 ……やっぱ頼む。

「はいはい」



おわり。



最初の展開でまさか!とか思ったら。

ほっぺ、ぷに。

ですか!初木さん!
…初木さん、さりげに頬をぷにーっとしたりつついたりするの好きですか?(こらこら
相変わらずのサトヒロ。
道に迷って泣きながら、それでも偉そうな口調そのままで探し回るヒロが可愛いんですが。

邪雪に至っては暴走気味な兄さんがいいっす。
表面上はいたっていつもの兄さん何ですがその考えている事が…(笑
何か愛嬌あってすてきです播( ̄▽ ̄)
男って…(何
そしてやはりスノー、貴方はスペの世界の最強。
ボディにフックにアッパー、そしてとどめにラ・デルフェス。容赦なし。
それでも愛い奴だと言える兄さん、貴方も凄いです。

そしてチクは一体何者。

この話も強奪させていただきました。うふ。
了承、有難うございます。初木さん(´▽`)ノ


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