魔王と王女と勇者と少女。





ジャドウ(以下邪)「………で。」
スノー(以下雪)「………」
シフォン(以下シ)「………」
エルティナ(以下エ)「………」
邪「なんでこんな事になっているんだ。」



ジャドウとスノー、シフォンとエルティナ、対面する形で。



雪「ええと、何でも以前行ったアンケートのリクエストの中に『シフォエル&邪雪・この人のここが好きだっ、的な対決物をー。』(原文まま)というのがありまして。そのリクエストに答えてみようと言う事になったみたいですよ?」
エ「通常の世界観じゃ間違いなく貴方が暴れるだろうって事で、変則的だけどこんな形になったみたい」
邪「………俺は猛獣か?」
雪「似たような物ですね」(笑顔で
シ「………………………………」(生きた心地がしない人)
邪「だいたい、何でこいつらと話をせねばならん。俺を後ろからブッ刺した張本人だぞ。こいつは」
シ「あ!あれは………!」
邪「何だ?何か言いたい事でもあるのか?人の対決の最中に割り込んできたウジムシが」蔑み。
雪「ジャドウ!」
シ「………っ」
エ「………」む。
邪「お前も嫌じゃないのか。時間の無駄なだけだぞ」
雪「………確かに、ヒロとの対決の最中に貴方を背後から刺しましたが」(さりげなく酷い
シ「………………………………」(追い打ちかけられて、事実なだけに涙
雪「そういう貴方も人の事は言えないはずですよ。(新生魔王軍壊滅時)」ずばっと。
邪「う」
雪「………それに、この人の立場からしたら、例え卑怯であれ(他意はない)あの時、そういう選択があったというのも事実でしょう。結果がどうであれ、彼は彼のする事をしたまでです」
邪「………」
シ「………」
エ「………」
雪「………それを許す許さないは、あとは当人の問題でしょう。貴方は許せないかもしれませんが、私は御話してみたいと思っています」
邪「………ち」
エ「………ほら、落ちこんでないで今くらい堂々としてなさいよ」肘で小突き
シ「う………うん」
邪「…フン。まぁいい、さっさと終わらせるぞくだらん」
雪「何てことを言うんですか、せっかくリクエストして下さったのに」
エ「その人が考えていたのとちょっと違うかもしれないけどね(汗)」



一時険悪なムードになったものの。
取り合えずはじまりはじまり。



雪「じゃあ………取り合えず。お題は『この人のここが好きだ!』なんですよね。………ジャドウはどうなんですか?」(笑顔
邪「なっ!いきなり俺に振るのか?!」
エ「あ、それは聞きたい!だいたいわかるけど、やっぱりこういうのって当の本人から聞いてみたいよね!」
雪「貴方もそうおもう?ふふ、そうなのよね、男の人ってあまりそういうの言わないから、こういう時くらい聞いてみたいのよね」
邪「煽るな小娘!!」
エ「小娘じゃないよ!」
邪「そんな色気の欠片もない奴の何処が小娘じゃないと言うんだ」(嘲笑
エ「(むか。)長生きしておいて今だ子供くさいこと言ってる人に言われたくないです!」
邪「ほざくな小娘」
シ『………あの魔王の息子と口喧嘩してる………』(滝汗
雪「二人とも喧嘩しないで。ジャドウも、ほら」
邪「………チッ」
エ「いーっだっ」
邪『この小娘………!』魔力上昇
シ「え、ええと、それじゃあスノーさんはどうなんですか?その………彼のどういった所を?」(何て呼べばいいのか迷った
雪「え?」(照
邪「!(興味津々)」魔力収拾
雪「そ、そうね………何ていうか………最初は怖いばかりの人だと思ってたんだけれどね。接しているうちに堂々と誰にも縛られずに生きているところとか、自分の力で何かをなそうとしているところとか………確かにそれは危険なことではあったけれど、迷いがあって何かから逃げ出したかったあの時の私にとっては、とても大きく見えて………」
邪「………」
雪「それに、あまり表には見せない弱さももっていて。それでも突き進んで行く姿にどうしようも無く………って、あ、ふふ、何だかやっぱり照れるわね、こういうの」
邪「………」(照
エ「あはは、何かこっちまで照れちゃうなぁ」
シ『………何でこんないい人があいつの恋人なんだろう………』
邪「………。」(よくない電波を感じたらしい
雪「それじゃああなたは?彼女のどういう所が好きなのかしら?」
シ「え?!あ、いや、その、えと………」(真っ赤(当人前にして言えるわけがない
エ「(じー)」興味津々
邪「………フン、こんな小娘のどこがいいのか俺には理解出来んな」
シ「………!」
エ「!」
邪「付け加えれば、お前も、こんな男のどこがいいのかわからんな。まぁ、所詮小娘と卑怯者だ、お似合いなのかもしれんな?」(また嘲笑
シ「………何を………っ!」
雪「ジャドウ!」
シフォンが立ち上がろうとし、スノーが諌めようとした瞬間。
エ「余計なお世話よー!!!」
邪「!」
間髪いれず左アッパー。それをかわすジャドウ。
邪「………貴様」
エ「シフォンの事よく知りもしないくせに勝手なこと言わないでよ!!」拳構えて仁王立ち。
邪「何?」
エ「確かに!シフォンはあんたの事後ろから刺したかもしれないけど!」(またもやさり気に追い打ち。
シ「・・・・・・・・・・・・・・・。」(3度め。
エ「それにうじうじうじうじ一人で抱えこんで悩むくせもあるし!迷いに迷った挙句一人で暴走して爆発してあとで思いっきり後悔するし!!GOC3のイベントに至っては20年ぐらいたってるくせに何か今だに『人間の平和』とかいってるし!!てかアンタもアンタよ!何物凄く今更な事言ってるのよ!種族だの人間の為だの関係ないでしょう!!」
シ「いやあれ(GOC3イベント)は俺のせいっていうより………」
エ「ともかく!!それでも悩んでも間違ってても流されてても!シフォンは諦めなかったし投げださなかったわよ!!不器用でどうしようもなくて貧乏籤ひいてばっかりだけど、逆恨みや復讐なんてしなかった!!シフォンがやった事は、結果的にしちゃいけなかった事かもしれないけど!それでもあたしはシフォンがいいんだもの!あんたにとやかく言われる筋合いなんてないわよ!!」
シ「………」(嬉しいやら情けないやら複雑
雪「………」(笑顔
邪「………」(憮然
雪「…今のはジャドウが言い過ぎですよ。………誰かを好きなことに絶対必要な理由なんてありませんし、誰を好きになるかはその人の自由ですもの」
邪「……フン」
雪「貴方も幸せね。こんな風に真っ直ぐに好きでいてくれる人がいて」
シ「………は、はい………ちょっと乱暴なとこありますけどね」(苦笑しつつ照
エ「一言余計よ」(照れつつも小突き
雪「それで?貴方はどういう所が好きなのかしら?理由は必要ないけれど、こういうところは好きだなぁっていうのはあるでしょう?」
シ「あ、いや、その………」
エ「………なによう。何で言葉につまるのよ」
シ「だ、だってさ、こんな事………本人の目の前で言えるかよ………」(視線はずし。
エ「………」(赤
雪『可愛いなぁ二人とも………』
邪「………相変わらずハッキリしない奴だな。うだうだと鬱陶しい」
シ「(………む。)」
邪「そんな事くらいはっきり言えんようでは、先は見えているな。まぁ今も大してかわらんか。この小娘の尻にひかれっぱなしなのは」
シ「………そういう貴方はどうなんだ」
邪「何?」
シ「さっきから俺達の事ばかりいっているが、そう言う貴方はどうなんだ。彼女のどんなところが好きなのかこの場ではっきりいってみたらどうだ」(流石にたまりかねてきたのか強気で切り返し
邪「………ほほう、偉そうな口をきく」
シ「………」
邪「………」
火花散ってます。
雪「………何か今にも戦闘勃発しそうな雰囲気ね」(ひそひそ
エ「シフォンて追い詰められたら結構とんでもない事するからなぁ」(こそこそ
雪「………おもしろそうだから、ちょっと離れて黙って見てましょうか?」(おいおい。
エ「そうですね、勢いにまかせて本音きけそうだし。」(こらこら。


てなわけでそーっと移動移動。
二人とも睨みあっていて気が付いてません。シフォン口元引き結んで睨んでます。ジャドウ笑みをたたえつつ眼光鋭いです。


邪「俺があいつをどう思っていようがお前なぞに関係なかろう」
シ「確かに関係ないけど、これは一応企画なんだぞ。こたえる義務があるだろ」
邪「ではお前も言わねばならんだろう。フン、そこいらのガキでもあるまいに」
シ「じゃあ貴方はガキじゃないんだから言えるんじゃないのか」
邪「・・・・・・・・・・・・・・・・」
シ「・・・・・・・・・・・・・・・・」
睨み合い。
邪「フッ、まぁそれなりの年頃だろうにこれっぱかしの色気も何もないただの乱暴者の小娘なぞより、俺のスノーの方が断然上だな」ふふん。
シ「(かちん)………俺は別に色気なんかなくたってかまわないよ、女性はそんなものできまるわけじゃないだろ。そんなものでスノーさんの良し悪しを決めるのか?そんなの失礼だろう」
邪「(ムカ)…それだけではない、淑やかで女らしい奴だ。おまけに聡明で美人だ。最初こそおどおどとした奴だったが、今では何者にも物怖じしない、芯の通った強い女だ。まぁたまに強くなりすぎだと思うこともないでもないが…ともかく、すぐ手が出るような乱暴なだけの小娘と張り合うまでもない」
シ「乱暴乱暴いうなよ!そりゃ確かにエルティナは言葉と同時に手が出るけど!



エ「・・・・・・・っ!・・・・・っ!!!」
雪「お、落ち付いて、ね、もうちょっと落ち付いて!(汗」
暴れるエルティナの口を手でふさいで押さえるスノー。



シ「おまけにガキの頃なんて素手で魔獣ぶっ飛ばすし!それから鍛えて強い相手がいたら氷の魔女だろうと大魔王の娘だろうと喧嘩うるけど!!
邪「………本当にただの人間かそれは。」ごもっとも。
シ「…それでも、エルティナはいつだって一生懸命で、とことん真っ直ぐで、俺が悩んでたりしたら、殴ってでも前向かせてくれるし」
邪「やっぱり乱暴ではないか」
シ「いちいち茶々入れるな!……そりゃ、スノーさんほどお淑やかじゃないけど………」



エ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」ばきりと指鳴らし。
雪「まぁまぁ(汗)」



シ「………だけど、それでも、………側にいてくれて良かったって、思える奴なんだ」
邪「………」
シ「その人がどれだけ優れてるとか、綺麗だとか、女らしいとか、そんなの関係ないんだ。………子供の頃から一緒に育てられて、ずっと一緒で、でも俺がタワーに登るときに初めて別れて…エルティナはずっと待ってるって約束してくれた。けど俺はそれを守れなかった。だのにあいつは追いかけてきてくれて俺を一発殴って、またずっと一緒にいるって約束して………」
邪「………」
シ「あいつが一緒にいてくれるっていうだけで、本当に嬉しかったから………」
シ「そう、思えるから。だから俺はエルティナが………」
邪「………フン」



エ「………っ」(真っ赤)
雪「………」(笑顔



邪「………くだらん」
シ「な、なんだと?!」
邪「あの小娘が、そこいらのただ姿形に惑わされるようなのや、追い詰められて惨めになりさがった卑怯者になってしまったからと言って態度を変えるようなのや、損得を考えるようなくだらん奴でもなく、貴様がそんなのではない者を選んだ事はまぁ誉めてやらんでもないが」
シ「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
邪「青臭い人の惚気話ほどくだらんものはない」ずばっと。
シ「・・・・・・・・・・・・・・・・っお前がそれをいうかーーーっ!!!!」(おもわず敬称消え。





雪「………結局」
エ「はい」
雪「あんまりジャドウの本音がきけなかった気がするんだけど………」
エ「色々誉めてはいたけど。でもやっぱりこういうのってありきたりの誉め言葉より………」
雪「そう、『その人の言葉』で聞いてみたいなぁ………って思うのよね。………すこしシフォンさんのイメージが変わったかな。」
エ「?」
雪「以前あった時はとても不安定で、自分の行動に迷いを酷く感じたから…。迷いは誰にでもあるけれど、彼の場合はそれが他の人より酷かった。でも大分、落ち付いているみたいね。」
エ「…はい。」
雪「あの人も、少しだけ見直してくれたと思うけれど………また言い合いがはじまったみたいね」(汗
エ「そう言えばスノーさん」
雪「はい?」
エ「あい………じゃなくて、………あの人って普段どんな感じなんですか?想像がつかないなぁ」
雪「普段のあの人?そうね………ふふ、これを言ったらあの人、絶対声を上げると思うんだけど………」
エ「え、何なに?何ですか?」
雪「実はね………」



邪「フッ、やはり比べるまでもない。何事も、全てにおいてスノーの方が明らかにいい女だ」
シ「そんなのその人の価値観の問題だろう!エルティナも言ってたけどお前にとやかく言われる筋合いはない!!」
邪「人間は付き合いをすると似てくるというが、まさにそうだな。お前もあの小娘も喧しい事この上ない」
シ「余計なお世話だ!!」






おわれ。



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